『ステテコ』とは
高温多湿の日本では、スーツの生地や裏地が肌に張り付いてしまい、着心地が悪いだけでなく、見た目もスマートでない。ステテコを履くことで、この張り付きを防止でき、また、張り付かないことで動きやすくなるという優れた機能を持つ。ステテコが、明治に日本に織物工業が興るとともに登場して以来、廃れなかった最大の理由である。
主に男性が使用する。
裾は、膝からふくらはぎ中ごろまでのことが多い。ズボン下ともいう。
語源は、落語家の「ステテコ踊り」からという説があるが、定かではない。
高齢者では、部屋着としてそのままズボンを履かずに家の中や近所をうろつくことがあるが、近年、その動きが見直され、若年層向けに派手なプリントを施した物などが登場している。ただし、吸汗や清涼感など機能性という意味では白物に劣る。
「素材・生地」※生地については下記参照
平織り(ふつうの布生地)で作られる物もあるが、現在は、ステテコと言えば、「楊柳(ようりゅう)」または、クレープ生地と呼ばれる、たてじわのある生地で作られることが非常に多い。
また、これがステテコの特徴であるともいえる。
楊柳は、生地を織るたて糸とよこ糸のうち、よこ糸の方に、強撚糸(通常の糸のより(撚り)回数より、1.5〜2倍程度多めによりを掛けて弾性を増した糸)を使い、強撚糸の「伸ばしたバネが引きもどる力」を利用して、生地の表面にたてじわを作る。
このたてじわを「しぼ」という。
「しぼ」があると肌に接する面積が通常の生地よりも少なくなるため、ベタつき感が少なくなり、暑い季節には見た目だけでなく清涼感を実感できる。これがステテコを履くとさっぱりとする理由である。
素材は、綿、あるいは綿と麻の混紡がほぼ100%。
この生地の凹凸と綿素材の組み合わせにより吸汗性と速乾性に優れている。
「楊柳」は、柳の葉っぱが重なっているように見えるためそう呼ばれる。
ステテコの他、夏物のジャケットやブラウス、寝具にも使われる。
「構造」※かたちの解説アニメは下記参照
ステテコは、下着とズボンの間に履く、女性用のスリップのようなものである。
そのため、ふつうはズボンと同様、右足の前側・後ろ側、左足の前側・後ろ側の4つを主なパーツにして縫い合わされる。(4枚はぎステテコ)
4枚はぎの場合、履いているうちに上にずれてきて、おしりに食い込んだ状態になりやすいため、食い込み防止に左右のおしりの山の間を渡すパーツを加えることがある。(5枚はぎステテコまたは、3枚はぎステテコ)立体裁断のため生地の歩どまりが悪くコストアップになるが、価格は4枚はぎと変わらないことが多い。
生地がややスリップ(たて糸とよこ糸の規則正しい配列がずれて一部が広くあいてしまうこと)しやすいため、主な部分は、本縫いよりも環縫いやロックミシンで縫製されることが多い。
ステテコは、さらに下に下着を着るため、前立て(いわゆる「チンだし」)が必須であり、昔ながらの生地をクロスさせて押さえるタイプとシャツ仕立てタイプの2種類に分けられる。近年、若年層への浸透を図るためにより、見た目のいいシャツ仕立てタイプが増えている。
「産地」
楊柳生地を作ることが意外に難しいことから近年まで日本国内で生産されることがほとんどであったが、小売からのコストダウン要求に応えるため、現在は中国製などの海外製が低価格ゾーンでは支配的である。高級品ゾーンでは、依然として国内生産がされている。
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『ステテコの生地』について解説
よく見るふつうの生地は、平織りといってたて糸によこ糸を1本おきに、上下上下と通して織られています。ふつうの平織り用のよこ糸は、太さが40番で1mの間に850回くらいひねった糸を使います。
できあがったふつうの平織りの生地は、2.54cmの間にたて糸が100本、よこ糸が80本、合計180本入っています。
これに対してステテコ用は、よこ糸のひねり回数が、平織り用の1.5倍以上で1200回以上。
ステテコ用は、すき間を多くして、2.54cmの間にたて糸が65本、よこ糸が55本の合計120本の割合で織ります。
ひねる回数が多いと、糸をひっぱって伸ばしたとき、バネみたいに戻ります。
生地を織るときはピンと張って織るので、生地を仕上げるために洗ったりすると、ステテコの生地は横だけバネで縮みます。横だけ縮むから縦にシワが寄ります。これがステテコのうねうねの秘密。
ふつうのステテコ用は、さらにうねうねを強くするスジの入ったローラーに通して完成。
ステテコの生地は、すき間が多いから風通しがよく、吸った汗が早く乾く。また、ステテコ独特のうねうねは肌にくっつくところが少なくべとつかない。だから、ステテコはすずしい。
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『ステテコのかたち』をわかりやすく解説
ステテコは、下着とズボンの間に履く、女性用のスリップのようなものである。
そのため、ふつうはズボンと同様、右足の前側・後ろ側、左足の前側・後ろ側の4つを主なパーツにして縫い合わされる。(4枚はぎステテコ)
ただし、4枚はぎの場合、ズボンのようにひんぱんに位置を直せないため、履いているうちに上にずれてきて、おしりに食い込んだ状態になりやすい。
そのため、食い込み防止に左右のおしりの山の間を渡すパーツ(後ろマチ)を加えることがある。(5枚はぎステテコまたは、3枚はぎステテコ)
このマチがおしりの山に常にフィットすることで、動きによるズレがなくなり、おしりへの食い込みがなくなる。
立体裁断のため生地の歩どまりが悪くコストアップになるが、価格は4枚はぎと変わらないことが多い。ただし、5枚はぎ(3枚はぎ)ステテコは、後ろから見ると若干、おしめをしているように見える難点がある。
このようにステテコには、大きく分けて、ズボンを脱いでいるときにもかっこいい4枚はぎステテコと、おしりに食い込まない機能的な5枚はぎ(3枚はぎ)ステテコの2種類のかたちがあるが、好みが論じられることは少ない。
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