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黄砂
解説テキスト

【状況】
黄砂は、春先から初夏まで西日本を中心に降り注ぐ。最近は、東日本でも観測されるようになり、洗濯物が汚れたり、農作物にくっついたり、視界が悪くなるなど被害も多い。

【分析】
黄砂は、アジアでの自然現象の名称だが、同じような砂嵐・エアロゾル(大気中の浮遊物質)は世界中で起きている。
黄砂の発生源は、主に中国内陸部の黄土高原・ゴビ砂漠・タクラマカン砂漠である。黄砂は、日本・韓国だけでなく遠くアメリカにまで到達する。
とくに、中国に隣接する韓国では被害がひどく、首都ソウルでも息をするのも苦しいときがあり、外出禁止令が出るほどである。
世界的にみてもうひとつの発生源は、サハラ砂漠から中東の砂漠地帯にかけてであり、インドに入り、ヒマラヤにまで達する。
マイナス面ばかりではない。黄砂の成分は、炭酸カルシウムが多く、海に降り注ぐことでミネラル分となりプランクトンの栄養源になっている。陸地の栄養を海に届けているともいえる。
また、炭酸カルシウムには、酸性雨を中和する作用もある。
しかし最近は、中国の大気汚染がひどくなり、大気汚染物質が黄砂にくっついていっしょに運ばれてくるという新たなマイナス面が加わった。
黄砂の観測回数は増える傾向にあるという見方が多い。中国での放牧地拡大のための森林伐採や温暖化が原因といわれている。

【結果】
人間の活動によって失われた自然の循環はそう簡単には戻らないが、植林をするなど回復に努力することは最低限必要なことであると黄砂は教えてくれている。


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